2016年8月21日日曜日

アンドレス・ベエウサエルト 根津公演


Solo concert "Andrés Beeuwsaert"at Nezu church,TOKIO.
20.08.2016
 
コンサート・レポート

by 谷本雅世


昨年11月末のピアノ・エラでは、フアン・パブロ・ディ・レオーネ(=ファンピ)とのドゥオだったが、今回は正真正銘アンドレスのソロ・ピアノのアレンジでもちろんソロを生で聴くのはブエノス・アイレス、日本を通じても初めての機会だった。

アンドレスの自作曲"イニシオ Inicio"に始まり、彼の尊敬するウルグアイのウーゴ・ファトルーソの曲、ブラジルのフルート奏者で作曲家レア・フレイレのリズミカルな曲、ポルトガルのマリオ・ラジーニャ、ライル・メイズの"ショリーニョChorinho"など彼のアルバム「ドス・リオス Dos Ríos日本盤「クルーセス CRUCES」からのおなじみのレパートリーは、ソロのアレンジで緩急の変化をつけ、流れるように音を紡ぎだす彼のピアノが、まるで 歌っているかのようだった。むしろボイスは、そのピアノをひきたてるかのようにさえ聞こえ、ハミング、口笛を自在に操る。
一気に数曲弾き終え、拍手喝采を受け、幾分緊張が取れたかのように見えたアンドレスは、ふ~っと大きく息を吐き、笑顔を向けておもむろに語り始めた

「今演奏したこれらの曲はすべて自分が大好きな作品である、と同時にそれら作った素晴らしいコンポーザーたちと自分は親しく付き合ってきた、という共通点をみなさんに話しておきたい。幸運にも彼らは生きている現在のコンポーザー/演奏家であり、公私ともによく知っているからこそ表現できるものがあると思っている。」これは昨年末、初来日のインタビューも彼と(彼の親友でもあるフアンピが)強く強調していた点だ。

後がらりと空気を変え、20日未明(アンドレス日本に到着してすぐ)突如飛び込んできた訃報、モダンな楽曲で知られるアルゼンチン・タンゴの大巨匠オラシオ・サルガンが100ヶ月の生涯を閉じたことに言及し、年前の2月に61歳の若さで亡くなったアルゼンチンロックの巨匠で雄、スピネッタの曲「カンシオン・パラ・ロス・ディア・デ・ラ・ビダ Canción para los días de la vida」をサルガンに献げた。






さらに自分が崇拝し続けるアメリカのパット・メセニーの曲、そして最後アカ・セカ・トリオとはファミリーのように、彼自身はおじのように慕っている、アルゼンチン・パラナーのピアニスト/コンポーザー、カルロス・アギーレの「ミロンガ・グリス Milonga gris」を演奏
2度の来日でファンの多いアギーレのこの名曲の演奏で会場は一気に感動に包まれた。

なり止まない拍手、約1時間半の演奏。
アンコールは1曲だけ。ウルグアイの奇才、エドゥアルド・マテオの曲でコンサートの最後を締めくくった。

終演後のサイン会ではピアノ・エラからのリピーターも多く、岡山、名古屋、富山、東京でお会いしましょう!と挨拶される方も多かった。

アカ・セカ・トリオ JAPAN TOUR 2016
スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド、スキヤキTOKYO
の詳細こちら

間に合った来日記念盤「アカ・セカ・トリオ・ベスト ACA SECA TRIO BEST」を手に笑顔のアンドレス。元気そうで昨日遅く到着したとは思えない。